3台のiMacと、下部にLEDディスプレイを組み込んだdesync。

iMac G3に別の映像を映す。desyncの筐体をつくるまで

TOKYO PROTOTYPEで展示した「desync」は、3台のiMac G3と、LEDディスプレイを組み込んだ筐体で構成した作品です。今回は、iMacに外部の映像を映すまでの試行錯誤と、筐体をつくった話です。

2026年以降、誰かが「iMac G3を使いたい!」となったときに、少しは役に立つと思います(主観)。

3台のiMacに映すのは、当時の視点を与えたAIの解釈、そのログ、そして僕らIE3を紹介する現代のWebサイトです。ログは更新し続け、筐体下部のLEDには現代の視点によるAIの解釈を映しました。

AIは裏側のMac Studioで、ローカルLLMを使って動かしています。その映像をiMacのブラウン管へ入れるために、入力ケーブルを差し替えました。そこに落ち着くまでが、なかなか長かった。

3台のiMacと、下部にLEDディスプレイを組み込んだdesync。

3台のiMacと、下部にLEDディスプレイを組み込んだdesync。

ソフトを入れるだけでもひと仕事

Webサイトを表示するため、Internet Explorer 3を別途パッケージで購入しました。ところが、iMacのCDドライブがうまく動かない。

結局、ネットワーク越しにインストールしました。ただ、ファイルの受け渡しも素直にはいきません。サーバーにHTTPで開けるページをつくり、必要なファイルをアップロードする。iMacのブラウザからダウンロードして、インストールする。この地味な作業を繰り返しました。

その後、映像入力用のソフトを試すときも、この方法を使い続けました。今回の環境では、たぶんこれがいちばん確実でした。

Internet Explorer 3で見られるWebサイトの制作については、こちらの記事で紹介しています。

QuickTime Proで映った。でも全画面にできない

映像入力は、iMac上のソフトで受け取る方法から探しました。Raspberry PiからQuickTimeへ配信する案を考えたり、iMovie 2やBTV Proを調べたり。

実際に映ったのは、MacBook Air → デジアナコンバータ → Canopus → iMacという経路です。Canopusの入力に合わせてHDMIをアナログのRCA映像に変換するため、コンバータも購入しました。CanopusからはDV/FireWire経由でiMacへ渡します。

映像入力の検証に使ったCanopusの変換器とケーブル。

映像入力の検証に使ったCanopusの変換器とケーブル。

iMac側では、昔のライセンスキーでQuickTime Proを動かしました。まさか今、役に立つとは思いませんでした。

Canopus経由の映像をQuickTime Proで表示しているiMac

Canopus経由で取り込んだ時計の映像を、QuickTime Proで表示。

映像は出た。でも、展示に使いたい全画面表示の方法が見つからない。方法がないことはないのだろうけど、QuickTime Proでできないとなると、もう分からない。

当時のOSで動く表示用ソフトの自作も考えましたが、コンパイルできる環境も時間もなく、諦めました。

ブラウン管の入力ケーブルを抜いてみる

悩みながらフランス語の記事「Utiliser un iMac G3 comme écran pour un Mac moderne」を読み返していて、「これ、ケーブルが抜けるって書いてある?」と気づきました。ここから直接入力へ方向転換します。

記事の対象は、CDドライブがトレー式の初期のiMac G3。スロット式とは内部の仕組みが違うそうです。手元の3台を確認すると、1台はブラウン管へのアナログ映像の入力ケーブルが抜けました。ここへ映像を入れれば、iMac上のソフトを使わずに表示できそうです。

底面を開けたiMac。内蔵ディスプレイのケーブルと、左下にSony VX2000。

底面を開けたiMac。内蔵ディスプレイのケーブルと、左下にSony VX2000。

スロット式のiMac G3 DVには、自作の接続基板とArduinoなどでブラウン管を外部モニターにする方法もあります。制御基板の初期化まで行うもので、今回は製作・検証の時間がなく見送りました。いつか試してみたい。

端子と変換機器をつなぐ

普通のVGAだと思っていたら、コネクタの形が違う。見慣れない端子に合わせて、いくつかの変換アダプタを試しました。使ったアダプタは、当時のメモに「VGA to AD15」とあります。

この「AD15」は、正式にはDA-15。昔のMacに使われた2列15ピンの形で、DB15と表記されることもあります。一般的なVGAは3列15ピンのDE-15(HD15)なので、同じ15ピンでもそのままではつながりません。

iMac底面で映像ケーブルと複数の変換アダプタを接続した状態

接続を試しているところ。中央に「MINI GENDER CHANGER」の中継コネクタ。

今回の記事整理で見つかった端子の名称と形状の解説には、この違いが載っています。当時読めていたら、接続が正しいのかと悩んで苦しむ日々もなかったかもしれません。

必要になったのは、FireWireやD-sub、コンポジットケーブル、VGAまわりの端子類。「さすがにもう使わないだろう」と思って、ちょうど去年捨ててしまったものばかりでした。取っておけばよかった。でも、いまだにこれらが売られている世界に感謝しました。まあ、秋葉原に行けばあるだろうとは思うのですが。

映像の変換には、先ほどの写真に写るSony VX2000も使いました。このビデオカメラにはアナログ入力をDV信号へ変換して出力する機能があります。

初代Mac miniを挟む方法も試しました。1月21日のメモには「HDMI → RCA → DVcam → mac mini(1024×768、75Hz)→ ブラウン管」という経路が残っています。初代Mac miniのFireWire端子と、DVIからアダプタ経由で出せるVGA出力を使おうとしたものです。

この経路は、16:9の映像が4:3に歪んで諦めたような気もします。ただ、記憶は曖昧で、結果の記録も見つかっていません。

V-4EXを借りて、ようやく映る

挟む機材は少ないほうがいい。そこで映像作家の嶋田くんから、Rolandのビデオ・ミキサーV-4EXを借りました。HDMIで入力し、VGA端子からアナログRGBを出力できるので、変換アダプタを介してブラウン管につなげます。

ところが、つないでも画面が立ち上がらない。端子の形だけでなく、ブラウン管が受け付ける映像信号の周波数も合わせる必要がありました。

調べながら設定を試し、PAL設定へ切り替えると、ようやく映りました。NTSC設定では選べなかった75HzのRGB出力です。

Rolandの仕様では、RGB出力はNTSC設定で60Hz、PAL設定で75Hz(1600×1200と1920×1200は50Hz)。この75HzはRGB出力の値で、PALのテレビ映像そのものの周波数ではありません。

iMacの外観を残したまま、Mac Studioの映像をブラウン管へ映せるようになりました。

動画:映像機器とiMacを行き来しながら接続を確認(約8秒)。

ただし、起動と終了にはケーブルの差し替えが必要です。ピンクのiMacを起動してからV4側へつなぎ替え、終了時は元の接続に戻してOSの画面からシステム終了する。この手順を会場用のメモに残しました。

3台のiMacとLEDを収める筐体

筐体は、3台のiMacを横に並べ、その下にLEDディスプレイを収める形です。

3台のiMac G3とLEDディスプレイを収める筐体図面

2025年12月9日作成の筐体図面。上部に3台のiMac、下部の正面と側面にLEDディスプレイを配置する計画。寸法は検討時の概算です。

LEDの面がきれいにツライチになるよう、位置を調整して固定できる構造にしました。重いiMac G3を載せても天板がたわまない強度を持たせ、移動しやすいようにキャスターも付けています。

裏から見ると、だいぶtechieな感じです。

筐体の内側から見たLEDパネルと配線。

筐体の内側から見たLEDパネルと配線。

フレームの組み立てと天板の仕上げは、動画にまとめました。

筐体のフレームを組み立てる


天板の表面を仕上げる


天板とLEDを取り付け、iMacを載せた制作途中の筐体。

天板とLEDを取り付け、iMacを載せた制作途中の筐体。

筐体に取り付けたLEDの点灯確認

ブラウン管を残して、iMac G3を引き立てる

液晶に換装する手もありました。ただ、それでは当時の機材を使うという、この作品の文脈が変わってしまいます。ブラウン管の曲面や、インターレースの映像に感じる美しさも含めて、iMac G3を生かしたかった。過去のものを、過去のものとして終わらせず、いま動く作品の一部として使い続ける。そのために、ブラウン管を残しました。

筐体はiMac G3の邪魔をしない、角の立ったシンプルな形に。LEDをツライチに収めたのも、主張を抑えてすっきり見せるためです。ただ、天板までアルミの光沢にするのは少し違う。そこには別のテクスチャを与えました。

IE3では、映像・Web・ソフトウェアと、それらを展示する筐体まで一緒に考えて制作しています。「こんなものをつくりたい」というアイデアがあれば、ぜひご相談ください。

Back